【ケンブリッジ飛鳥選手】Part.5「独自インタビュー-on the track-」

バージョン 2

公開トレーニングから一週間後、幸運にも再度ケンブリッジ選手にお話を聞く機会に恵まれました。これまでの競技人生と、3つレース映像の分析を依頼。優勝を目指したインターハイは頂点に届かず、注目を集めた大学4年のシーズンも、納得いく形ではなかったといいます。お話を通して、10.10をマークした走りはこれまでと何が違うのか、鮮明になっていきます。

ケンブリッジ選手の「on the track」です。


 

-それでは改めて、陸上競技を始められたきっかけについて、教えてください。

ケンブリッジ選手
他のスポーツもやってみたいなと思って、陸上競技を始めたという軽い気持ちですよね。他の人とそんなに変わらないと思います。

-小学校まではサッカーをやられていました。辞めるときに迷いは。

ケンブリッジ選手
サッカーも楽しくて好きだったので、けっこう悩みましたね。

-それでもなお、他のスポーツをやろうと思ったいちばんの要因はなんでしょうか。

ケンブリッジ選手
単純に他のスポーツに興味があったということだと思います。

-最初から100m・200mだったんですか?

ケンブリッジ選手
最初は400mをやったりしたんです。中学3年のときは、全国大会の200mで予選落ち、という結果です。22.8くらいですかね。そんな特別に速かったわけではないですね。

-当時の身長はどれくらいあったんですか。

ケンブリッジ選手
身長は173cmか174cmくらいでした。体重が今と比べると20kgくらい違って(笑)。58kgくらいでしたね。

-東京高校に進学したきっかけを教えてもらえますか。

ケンブリッジ選手
最初に知ったのは顧問の先生でした。東京では圧倒的に強い学校なので、トップを目指すなら東京高校だとずっと言われてもいて。当時は、国体で優勝した女部田(亮・2008年国体少年A100mチャンピオン)さんがいました。ここでやれば、自分も強くなれるかな、と思ったのがいちばんのきっかけですね。

-チームメイトにもすごく恵まれたんじゃないでしょか。

ケンブリッジ選手
そうですね、猶木(雅文・大阪ガス)もそうですし、女部田(佑・筑波銀行)もそうですし、同期に恵まれしたね。普段は仲良いですけど、練習するときはやっぱりお互い意識してやっていたので、それも大きかったのかなとおもいますね。

-東京高校は大きなトラックがあるわけではありませんが、短い距離を走るトレーニングが中心なんでしょか。

ケンブリッジ選手
他の高校と比べると、練習量はそんなに多い方でははないと思います。いつも短時間で集中して終わるという感じでした。

-東京高校は継続して強いスプリンターを輩出しています。強さの要因はどこにあると思われますか。

ケンブリッジ選手
やっぱり、先生じゃないですかね。どんどん新しいことを試して、良いと思ったものを取り入れていって。選手を常に強くしようと思っている方なんで、それが本当に大きいと思いますね。

高3のインターハイは優勝を意識されていたと思うんですが、勝つことはできなかった。今振り返られるとどうですか。

ケンブリッジ選手
懐かしいですね。当時もちろん100m200mどちらも優勝したいと思ってやっていたので、勝てなかったのはもちろん悔しかったというのはあるんですけど(100m3位、200m4位)、リレーで優勝出来たことが、個人の結果より記憶に残っています。

 

-高校記録を更新されたチームでした。

ケンブリッジ選手
インターハイでは届かなかったんですけど、その後に高校記録を。40.02ですね。10年ぶりくらいの更新で。何年もつかな、って話をしていたら次の年に塗り替えられて(笑)。

-滝川第二ですね。そして現在の記録は、桐生(祥秀・東洋大)選手が高2のときの洛南です。
当時のリレーメンバーが、その後強力なライバルになっていきます。日本選手権では猶木選手が2013年200mで7位、女部田選手も2014年に100mで3位になりました。ケンブリッジ選手は納得される結果は残されていないと思うのですが、いかがでしょうか。

ケンブリッジ選手
そうですね、大1で初めて出て予選落ちして。大2で入賞して、大3の時に10.2台を出して日本選手権も戦えるなと思ったんですけど。怪我もあって200mは予選で終わって、100mは棄権したので。4年になっても思ったような結果も残せなくて、悔しいなという気持ちはありました。でも今年は戦える、優勝するチャンスが全然あると思っています。

 

-それではここからは、過去のレースを動画で振り返りたいと思います。懐かしい物もあるかと思います。

ケンブリッジ選手
なにが出てくるか、ちょっと怖いですね(笑)。

-それでは、2011年インターハイ100m決勝のレースを振り返ってみたいなと思います。

ケンブリッジ選手
フフ、懐かしいな(笑)。

-3位だったこのレースを振り返られると、技術的な面での現在との差を教えていただけますか。

ケンブリッジ選手
まだまだムラがありますね。やっぱり肩が上がるクセがこの時出ていますよね。固くなってはいないですけど、やっぱりクセとしてあるので、この時は顕著かなと思いますね。重心が高くなっちゃうので。

-レース序盤から、それともある段階からそうした傾向は出てきてしまうんでしょうか

ケンブリッジ選手
けっこう序盤から出ているかなと思うんですけど。肩がグッと上がると重心の位置が高くなっちゃうので。

 

-大きな動きという意味では、非常に目立っていますね。

ケンブリッジ選手
そうですね、走りのダイナミックさはこの時からあったんだな、と感じます。

-ご自身のレースを振り返られることはされないですか。

ケンブリッジ選手
当時は何回も観たと思うんですけど、このレースを観たのは何年ぶりかな、というくらいです(笑)。懐かしいですね。2位に100分の1秒で負けちゃったんですよね。

-それでは次のレースが、2015年関東インカレ100mです。直前の織田記念で桐生(祥秀・東洋大)選手に勝たれて、世間で注目度が高まってきたころです。1年前のレースですが、現在との違いを教えてもらえますか。

ケンブリッジ選手
正直、当時も全く納得いっていないんですよね。やっぱり無駄な力使っちゃってるなと思います。自分から地面を叩きにいっているような。

-先日のインタビューでも、地面を叩きにいっていた、ということを昨年までの課題として挙げてらっしゃいました。

ケンブリッジ選手
自分で無駄な力を使っちゃっているところがあったんで。

-自分で地面をたたくと、どういった悪影響が出てくるんでしょうか。

ケンブリッジ選手
足を押し込むので接地時間が長くなります。長くなると地面からの反発もうまくもらえないので、前に進む力に変えられていないというのを感じますね。脚が(ケガしていた)、っていうのもありますけど、後半全然伸びていないんですよね。

-高校時代に比べると、肩の位置が下がってきたのかと思います。

ケンブリッジ選手
さっきのインターハイのレースに比べると全然(下がっている)。少しずつ、課題を克服していっていたのかと思いますね。常にコーチにも言われていたので。

-当時も納得はいっていないというお話がありましたけども。大4時に納得いったレースを上げていただけますか。

ケンブリッジ選手
大4のときに、本当に心から納得できたレースは、正直無いですね。

-勝ってはいるものの、

ケンブリッジ選手
いるものの、やっぱり物足りない感じはずっとありましたね。

-この当時、物足りなさを解消する道筋は見えてらしたんですか。

ケンブリッジ選手
この段階では、まだそこまでいってなかったと思います。この冬くらいからはロングスプリントを取り入れて、後半しっかり走るためには400mの練習とかで、無駄な力を使うと後半しっかり走り切れないと思うんですね。そこで、自分の形をしっかり作って、とりあえずリラックスして走るということを、常に頭においてやっていましたので。

-次に見てみたいのがこちら、10.10をマークされた今年の東日本実業団になります。「ヤバイ」という観客の方の声もあります(笑)。

ケンブリッジ選手
ヤバくねーかと(笑)。

-ガッツポーズも出ました。

ケンブリッジ選手
ベストは出ただろうなと思ったんですけど、実際タイムが出ましたからね。

-スタートの局面はいかがでしょうか。

ケンブリッジ選手
以前は無駄な力が、っていう話をしたじゃないですか。上下に弾んでしまうところがあったんですけど、やっぱりこのレースではそれが無いのかなと。スムーズに中盤からの加速まで繋げられている。後半も、肩の位置も上がってこない、ずっと課題にしていた部分も克服できたレースなので、全体的に良い流れで。

-先ほどの高校時代の走りと比べると、走りの大きさという意味では、上ではなく前への大きさを感じます。

ケンブリッジ選手
そうですね。力の伝わる方向が全然違っていると思います。そうなんですよね、上下しちゃうところがあったんですけど、上に働いちゃってた力を前方向に、変えられていますね。

-足の引きつけという点では、すごくスムーズにお尻までもってきていますよね。

ケンブリッジ選手
そこはずっと意識している点なんですけど、地面についてから無駄な起動は描きたくないので、かかとをお尻の付け根にひきつける、みたいなイメージはありますね。

-憧れの選手にウサイン・ボルト選手がいる、という話ですが、ボルト選手もスローで見ると引きつけはスムーズな軌道を描いていますよね。意識する点はありますか。

ケンブリッジ選手
やっぱり大きさが違うので、ボルト選手の走りを取り入れていれることはないですけど、参考になる部分はありますね。最近はそうでもないんですが、ブレイク選手の走りなんかは体格もすごく近いので、よく観ていましたね。

-ケンブリッジ選手が走っている姿、特に今期は、ブレイク選手と重なる部分もありますよね。

ケンブリッジ選手
ボルト選手の場合だと、やろうとしてもできない部分があるので、どっちかっていうとブレイク選手の走りを。

-ブレイク選手のように、ピッチをより上げていきたい、という気持ちはあったりするんでしょうか。

ケンブリッジ選手
できれば。ただ、やっぱり全部バランスだと思うので、ピッチもストライドも。その走りのバランスは崩さないようにやっていきたいと思いますね

-本筋からは外れますが、このレース、白線に近いところを走ってらっしゃいます。なにか日ごろと違う感覚があって寄っていたのか、ご自身のクセだったりするんでしょうか。

ケンブリッジ選手
このレースは顕著に出ちゃったんですけど、普段のトレーニングからそうしたクセがあって。なんでかって言われると正直わからないんですけど。ちょっと危ないんですよね。もうちょっとで出そうになっているんですけど(笑)。一人で二レーンくらい使っているっていう(笑)。

-日本選手権ではおそらく横に、同じレベルの選手が並んでいる可能性がありますよね。

ケンブリッジ選手
ぶつかることはないですね。

-先日のお話では、最後少し間延びしてしまった、というお話がありました。

ケンブリッジ選手
余裕をもって走っているからというのもあるんですけど、これで相手もいて最後まで本気で狙っていく、勝ちにこだわっていくっていうレースになったら、最後にもう少し回転数を上げていくイメージをもって走れれば良いなと思いますね。

 

高校時代から将来性を嘱望されたとはいえ、雌伏の時を経て、積み重ねたものが花開いた今期だということが伝わってきました。同時に、10.10からさらなる上積みへの期待もいだきました。まだ、出しきったレースを見せていないケンブリッジ選手。日本選手権に向けて、否が応でも期待が高まります。

Part.6は、普段着のケンブリッジ選手に迫る「off the track」です。ご期待ください。




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