【高瀬慧選手インタビュー】Part.4「off the track」

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高瀬選手のインタビューは最後のテーマ、「off the track」。トラックを離れた場面での普段の姿に迫ります。しかし、トラックを離れても、やはり陸上のことがいつも頭にあるのだそうです。


 

ー今の時期のオフの過ごし方を教えてもらえますか。

高瀬選手
木曜と日曜が練習休みなんですけど、そういう日は午前中会社に出社しています。午後は治療に行って一日終わっちゃいます。一日休みがあるとすれば日曜日くらいで、何をしているかというとあまり何もしていない笑。

ーご自宅でゆっくりされたりとかですか。

高瀬選手
してないですね。服を見に行ったり、映画を観に行ったり、最近だと大西さんのクラブチームの忘年会行ったりとか。あとはたまに競馬場に行ったりします。馬を見るのが好きですね。

ー馬は、生き物として好きなんですか。

高瀬選手
単純に盛り上がれるのも好きですし、パドックでこの馬が速いんじゃないかと見ていたりします笑。あと、膝の伸展を課題としているので、そういう視点でも笑。馬でもストライドが広い馬と狭い馬がいて、その違いはどこにあるんだろうって見たりしています。

ー馬でもその点に目がいってしまうと笑。オフの時でも陸上のことはどこかしら頭にあるんですね。

高瀬選手
あります。競馬を観て、盛り上がっているときはそれを忘れられるというか、意識しないでいられる。

ー意識的に、陸上のことを考えないようにすることを、オフの時には大事にされているんですか。

高瀬選手
それはあまりないですね。陸上自体好きなので、むしろ考えているのは好きです。

ーそれじゃあオフの日は体を休めているけども、頭のなかで陸上は止まっていないと。

高瀬選手
止まっていないですね。それと、朝食はおしゃれなとこ行って、そのまま読書を一時間したりとか。

ーそういう時に読んでいるのは、陸上関連の書籍なんですか。

高瀬選手
メンタルの本を読んでいます。脳の錯覚に関する本とか、川崎フロンターレの算数ドリルの本とか、自分が選手を引退した後に役立ちそうな本が中心です。

ー将来的に指導者になるということは意識されてらっしゃるんですか。

高瀬選手
学校指導者には興味はないのですが、陸上界には恩返ししていきたいと思っています。学校指導者ってどうしても、先生なので教育的な立場から教えなきゃいけないですから。プロのコーチとしてトップスプリンターを見ることにはすごく興味あるんですけど、やっぱり部活動を見るとなると、優先するのは教育的な部分かと思うので、そっちは自分はあまり向いていないかなと思いますね。教えるのも苦手ですし。

ー富士通の社業にも興味がある、というお話を伺いました。

高瀬選手
会社とまだそれほど話はしていないことなのですが、将来的には、富士通のキッズスポーツクラブを作ってみたいな、とおぼろげに思っています。そのためにも、かけっこ教室や講演会を増やしていって、自分に親近感を持ってもらう、応援してくれるファンを増やす活動に取り組んでいます。最近はオフでも地方を周っていることが多いですね。なるべく子どもたちと触れ合う時間を多くできたらいいなって。都内近郊の子たちは試合も観に来てくれたり、けっこう会う回数は多いんですが、地方だと試合で行くこともなかなかないので、なるべくオフの期間は地方に行きたいなって思っています。秋田、岡山、鹿児島、福井と行きました。シーズン終わってから冬季練習までの移行期に行ったりだとか。佐賀、仙台、千葉市で陸上教室と控えています(取材時点)。そうした機会が多くなってきて、今が自分を多くの人に知ってもらうチャンスだなっと思います。

ー英語の勉強もされてらっしゃるんですよね。

高瀬選手
なるべく英語に触れる機会を作ろうとは思っていますけど、なかなかうまくいかないですね。

ー海外のレースで普段と同じように、ということを意識して、英語の勉強をされてらっしゃるんでしょうか。

高瀬選手
そうですね。普段と同じように出来ないことが一番怖いことなので、普段から英語に耳慣れしておけば、海外に行っても、そこまで緊張することもないですし。後はぼく、けっこう海外でも日本語使うようにしているんです。海外で日本語使えないって隠れたストレスだと思うので、相手がわからないのをわかっていて日本語で話しています。「なんでお前外国語で喋っているんだよ!?」みたいに見られます笑。ぼくはそういうことが、実は自分を表現する意味では大切なんじゃないかなって。相手を巻き込んで、相手を日本語にしてしまえばいいと。
大西さん
自分の土俵にあげちゃうと。
高瀬選手
相手の言っていることがわからない時は、日本語で「なに?だから言ってるじゃん!」みたいな笑。

ーそれで解決できるんですか笑

高瀬選手
身ぶり手ぶり交えて話していると、相手も諦めてくれたり。「もうわかったわかった…」みたいな。大体なんとかなってますね。

ー自己表現が苦手だった、というお話ありましたけど、だいぶ克服されてきているんですか。

高瀬選手
克服されたとまでは言わないですけど、ちょっとずつ改善はできているかな、って。
大西さん
2、3年前までだったら、外部の仕事を受けに行っていなかったと思います。たぶん本人ができるようになってきたので、ストレスじゃなくなってきたんだと思いますし。富士通のバスケとか応援しに行っているんですよ。
高瀬選手
バスケが好きだっていうのと、ファンの選手がいて。町田類選手なんですけど。北海道の札幌山の手高校で三冠(インターハイ・国体・ウィンターカップ)している選手なんですよ。ポイントガードで、この間の世界選手権も出ています。ぼく同期入社なんです。彼女は高卒で入っているので年齢は下で、可愛らしい選手なんですけど。

ー面識もあるんですか。

高瀬選手
はい、試合の応援に行った後に、ご飯食べに行ったりすることもあります。

ー好きなスポーツは競馬、バスケときています。

高瀬選手
スポーツを観ることは好きで、アメフトも好きです。ジャパンXボウルの決勝を観に行きたいなと思いつつも、行けなくて。一方で、野球とサッカーはあまり観ないんですけど。

ーご自身で、野球・サッカーをプレーしたりとかは。

高瀬選手
できないですね笑

ー高瀬選手、運動神経はいいんですか。

高瀬選手
めちゃくちゃやばいです。本当にやばいです。球技とか超苦手で、運動はできないです。マット運動もできないです。本当に何にもできないです。マット運動とか授業結構休んでいたくらいで。
大西さん
本当にすごいですよ。10秒0台で走るのに、なんでそんなに運動神経悪いのっていう笑。逆にぼくからすると、希望が持てると思っています。
高瀬選手
ぼくはそれを中高生に伝えたいんですよね。こんなに運動が苦手なぼくでも、スプリントが速くなれたんだよ、と。こんなに何もできませんけど、走るのは得意です、って。
大西さん
為末さんは球技は苦手ですけど、体操はすごい上手。高平さんはめちゃくちゃ運動神経がよくて、なんでもできる。
高瀬選手
僕の側転、こんな感じです。
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ーちょっと傾いてますね笑。
高瀬選手
器械体操のみならず、ほんとうに運動できなくて。投げるのもぎこちない感じで、肩が回らないんですよ。
ー運動神経をトレーニングで求められる場面って、無いものなんですか。
高瀬選手
無いですね。できないのだからほっぽり投げてましたね。
ー運動神経が良いほうが、トレーニングが良い方向に作用するのでは、と思ったことはありますか。
高瀬選手
あまりないですね。そこを伸び代と考えたこともないですし、それで脚が速くなると思ったこともないんで。
大西さん
おもしろいくらいできないよね
高瀬選手
できないですね、なんでこんなにできないんだろ笑

 


 

ー好きな映画や音楽などはいかがですか。

高瀬選手
けっこうなんでも映画は観ていて、スパイ系のドキドキするのが好きです。
ーオーシャンズシリーズとか。
高瀬選手
とか。あとはプリズンブレイクとか。ああいうドキドキハラハラするのは好きです。
ー今年の映画だとなにが良かったですか。
高瀬選手
全然ジャンルが違うんですけど、「ミニオンズ」が面白かったです笑。映画はほんとにその時楽しければいい、っていうのはありますね。
ーゲームとかでも、脱出系とか好きだったりするんですか。
高瀬選手
ぼくゲームやらないんですよ、というかできない。苦手で、全然できないんです。ゲームをクリアしたことないんですよ。ドラゴンクエストとか、途中で行き詰まって先にいけなくなります。
ー一つのことにのめり込むことが、そんなにないんでしょうか。
高瀬選手
陸上のことにはのめり込めるんですけどね。他のことにあまりのめり込めない。やっぱり陸上が好きなんだろうな、好きだからのめり込んでいるんだろうなって思いますね。結果が出ているから好きになれているのかな。
ー高瀬選手が大事にしているこだわりの一品はありますか。一つ挙げるとしたら。
高瀬選手
全然ないな、こだわりの一品か。
大西さん
シューズじゃない?クッション性とか、アキレス腱が痛くないとか、という点をこだわっている気がする。
高瀬選手
走る時のアップシューズは確かにこだわってますね。特注でつくってもらって、こうしてほしいああしてほしいとお願いしています。
大西さん
スパイクよりも注文多そうなイメージだけど。
高瀬選手
シューズのほうが走る機会が多いですからね。でも、やっぱりオフのこだわりはないですね。洋服買うのは好きなんです。この間もスーツを作りに行って。
ーファッションのこだわりポイントを教えてもらえますか。
高瀬選手
ぼく、胴と腕がすごい長いんです。で、腰から脇が細いんで。シャツを着てもどこに合わせるかがすごい難しい。短い丈のTシャツだと、だんだん上がってくるんですよ。そうすると後ろから見ると、ベルトが見えていてすごい嫌で、丈が長いものが本当は好きです。
ーサイズ感へのこだわりなんですね。
高瀬選手
シャツはだいたいオーダーしていて、カジュアルなシャツもオーダーしてみたいんですが、どこでやるかわからないんです。
ーそれじゃあ、陸上のユニフォームも、本当はもっとこうしたいのに、という想いがあったりするんですか。
高瀬選手
ありますね。本当は2ヶ月に一回くらいは3Dで体型計測して、その時にあった丈の長さで着たいです。だいぶ筋肉とか変わってくるので。不格好なのは嫌です笑。
ーナショナルチームのユニフォームもサイズは決まっているかと思います。ご自身にピッタリのが着れているわけではないのでは。
高瀬選手
着れてないですね。
ー高瀬選手はレース中はどういったユニフォームで走るのが好きなんですか。
高瀬選手
ランシャツ・ランパンは苦手で、ピタッとしたのが好きなんです。上はピタッとして、下はランパンとか結構いいかなと思います。スパッツだと腿まであるので、脚が保護されている安心感があるんですけど、ランパンを履いた時はすごい開放感があって、「めちゃくちゃ脚回りそう」って感じがするんですよ。なので、ランパンで走るのもありかなと思っています。
ー富士通のユニフォームだと、中はピタッと上にランシャツのイメージですが。
高瀬選手
ガッチリしている人が着るといいと思うんですけど、ぼくが着ると貧相というか弱そうな…笑。あのユニフォームは丈が短いので、あれ一枚で着るとお腹が見えちゃうんですよ。もうちょっと丈の長さを変えてほしいなと笑。
ー衣服へのこだわりはデザインよりもスタイルの部分が大きいんですね。
高瀬選手
デザインはシンプルなものが好きなので、黒白とか無地系とか。柄物あまり好きじゃないんで、ワンポイント入っているとかいうものが。シンプルなものが好きですね。
ートラックの上ではシンプルな方が好きですか?
高瀬選手
トラックの上でもそうですね。
ー今年のナショナルチームのユニフォームデザインは、なかなか派手な色味だったかと。
高瀬選手
そうですね、あまり、ちょっと…笑
大西さん
ナショナルチームのユニフォームは派手なものが最近多いよね。

高瀬選手
戻して欲しいなという思いはありますね。白赤に国旗入っているみたいな、シドニー五輪までのようなデザインが好きです。

 

ー最後に来シーズンの目標を語っていただけますか。
高瀬選手
来シーズン、自分が目標としているリオオリンピックで、200mファイナリストになって勝負すること。それと4×100mRでメダルを取ること。37秒台のアジア記録を出してメダル獲得が目標ですね。
ー200mに主眼を置かれてらっしゃるんですね。100mの目標はあえて置かれていないんですか。
高瀬選手
100mに関しては、別に自分の専門種目とは思っていないです。世界と戦えるのは200mかと思いますし、両方やるというのは自分の中では選択肢としてはないので。記録的には9秒台は狙っていきたいとは思うんですが、オリンピックで勝負するのは200m。なので、自分が大きな舞台で勝負する姿を観てもらって、勇気とか感動を与えられたらいいなって。やっぱり結果を出しても、沢山の人に観られていないと意味がないと思います。そこでどれだけ沢山の人に見てもらえるか。自分の姿で感動・勇気を感じてもらいたいので、さきほどの活動にもつながっていきますが、そういう価値のある選手を目指していけたらいいなって思います。
ーありがとうございます。来シーズンの大活躍を、心からお祈りしています!

 


4つのテーマで伺った取材、まず驚いたのは高瀬選手とお会いした瞬間です。明らかに一般人とは異なるスタイルに息をのみました。長身に小さい顔、広い肩幅ー。洗練された肉体から溢れるオーラは、スーツでも抑えることはできません。取材が終わったのは、開始から2時間半後。インタビュアーがオフィスを出ても、エントランスに残ったまま見送っていただいたのが印象的でした。

高瀬選手、長時間にわたりご協力いただき、ありがとうございました!




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