2016.03.02
アスリート
karugo108
【桐生祥秀選手インタビュー】Part.1-求める荒々しさ、求めない綺麗さ-
100mで10.01の日本歴代2位の記録を持つ、”ジェット桐生”こと桐生祥秀選手が登場。2015年シーズン、3月に追い風参考ながら9.87(+3.3)をマークすると、5月の世界リレー選手権では3走として38.20をマークして銅メダル獲得に貢献しました。シーズン前半に大きな期待を集める走りを見せるも、日本選手権前に右太もも裏を肉離れ。北京世界選手権への出場はなりませんでした。しかし、シーズン終盤に復帰すると、10月の布勢スプリントで10.09(+0.3)をマーク。リオオリンピックの参加標準記録を突破する記録で、復活を果たしました。
桐生選手にこれまでのキャリアを振り返り、速さの秘密に迫るインタビュー第一弾。復活レースとなった布勢スプリントのレースを振り返りながら、桐生選手が求める速さの理想像に迫ります。
(2016年1月26日東洋大学川越キャンパスにて)
高校進学時の劇的な環境変化 (2011年)
ー今日はよろしくお願いします。
桐生選手
ーまず、これまでのキャリアを振り返ってお話を伺います。特に、劇的な進化をされた高校一年から二年の間に、なにがあって、あれだけのブレイクにつながっていったんでしょうか。
桐生選手
ー中学時代は、200mで全国中学選手権2位で、21.61というタイムは歴代でも6位。それだけの結果を残した桐生選手が、ついていけない洛南高校のトレーニングとは…。
桐生選手
ー中学時代は、短距離専門の指導者の方ではいらっしゃらなかったんですよね?
桐生選手
ー高校一年時、国体少年B100mに10.58で優勝されています。そこから高校2年までの期間がものすごく大きかったかと思うのですが、どういったトレーニングが有効だったんでしょうか。
桐生選手
ー洛南高校のトレーニングといえば、あまり長い距離を走らない、というイメージが有ります。
桐生選手
ー洛南高校には専門の指導者の方がもちろんいらっしゃいますが、選手が自主的にトレーニング計画は組まれているんですか。
桐生選手
ー当時からトレーニング組まれたり、ご自身でコンディションを把握されることに、意識的だったんですね。
桐生選手
ー一年生当時でインターハイの4×100mリレーで決勝に残って一走を務めました。その当時の先輩から受けていた刺激は非常に大きかったと?
桐生選手
高校記録を連発し、大学一年で学生記録に並ぶ (2012~2014年)
ー中学の時の意識が大きく変わっていった時期だったと。高校二年で10.19(+0.5)をマークされますが、高校二年から三年というのは、大きな変化というのはあったのでしょうか。
桐生選手
ー高校二年の当時で、高校記録は2度更新されています。特に良かったレースを振り返られると、どちらになるのでしょうか。
桐生選手
ーそして、高三で10.01(+0.9)をマークします。さらに現在は、アベレージのレベルが格段にアップしていますよね。高校から大学に入って、トレーニングはどのように変わられたんでしょうか。
桐生選手
ーただ、一年時の関東インカレでは、10.05(+1.6)までいかれてらっしゃいますよね。その時のレースというのはいかがだったんでしょうか。
桐生選手
そして、現在。ケガからの復活 (2015年)
ーここ最近、桐生選手のランニングフォームが変わってきているなと思うんですが、10.09をマークした布勢スプリントのレースを見ると、腰の位置が高くなって、膝から下の振り出しも高校時代より前に出ているのかな、という印象を持っているんですけど、技術面ではどういった点を意識されているか、教えてもらえますか。
桐生選手
ー一方で100mを綺麗にまとめきる能力がついている、ということも言えるかとは思ったのですが。その点についてはあまり求めてらっしゃらないですか?
桐生選手
ースタートから前に出てまとまった良いレースだと感じたんですが、ご自身としては全然違った印象なんですね。
桐生選手
ー綺麗にまとめるレースになったのは、怪我からの復帰間もないレースで、セーブしたようなところがあったんでしょうか。
桐生選手
ー体調はけっこう合わせることができていた状態、ただし理想とされているレースとは…
桐生選手
ー理想とされる走りが、できているレースというのはこれまでにもあったんでしょうか。
桐生選手
ーでは、理想とするレースパターンがあるわけではなく、常に模索して、もしかしたら結果として…、
桐生選手
ーやはり10.01も10.09のレースも、前半ですごい前にでています。30mで一気に前に出て、後ろを引き離すという走りですよね。
桐生選手
ーガツガツした走り、ということで、参考にしている選手はいるんでしょうか。
桐生選手
ー綺麗な走りよりも自分の走りを追求していきたい、という意識を持たれたのはいつからなんでしょうか。
桐生選手
ートレーニングの中にご自身の考えを反映していくというのは、メニューを追加するのでしょうか、それとも一つ一つの動きにより意識的に取り組んでいく、どちらがよりイメージに近いでしょうか。
桐生選手
ー会話しながら、調子を見ながら、チューンナップしていくんですね。
桐生選手が求めるレースは、荒々しい力強い走り。決して綺麗にまとめきることを求めてはいないことが見えてきました。高校時代から思考しながら走りを追求する中で、桐生選手らしい走りの形は型にはまらないものになっていったのだと感じました。
Part.2では、より技術的な部分まで、ご自身に解説いただきます。