【竹田一平選手】インタビューPart.3 -on the track-

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水戸国際の走りで、鮮烈な印象を残した竹田選手。しかし、10.27の自己ベストをマークした決勝の走りには、満足していないと言います。高校時代から大学入学後のレースを振り返ると、この日の課題と進化が見えてきました。

竹田選手がご自身の走りを分析する、on the trackです。


-それでは高校時代のレースから。山梨インターハイのレースを振り返ってみたいと思います。左から4人目、5レーンです。

竹田選手
だいぶ観ていないですね。

-レース動画を振り返られることは。
竹田選手
することはするんですけど、これは観たくないですね(笑)。今とぜんぜん違います。60-70mくらいで「人生終わった」と思っています。スタートで遅れてて、かなり焦っていますね。やることはやろうと思っていて、中盤に少し出るんですが。
-40,50mくらいで少し前に出ますね。
竹田選手
走りが前傾してしまっています。なにをやっても直らくて。腰を立てよう立てようとばかり考えていて。ガチガチだし、脚が連動していないし、関東インカレと同じくらいのメンタルです。焦っちゃってもうダメでした。
-向かい風-1.7で10.97という結果でした。
竹田選手
動きは全く違いますね、股関節を使っていないです。力を使っている割に、ストライドに繋がっていません。上体を起こした時に、ピッチを上げよう上げようと思ったんですね。後半は骨盤を立ててどうにかしようと思ったんですけど、動きが小さくなっちゃって。ゴールした後に、わんわん泣きました。
-このレースを観たのは、いつぶりでしょうか。
竹田選手
自分の走りを観たくて、「竹田一平」と検索するとこのレースが出てくるんです。間違えて開いちゃって観た以来です。当時もこの試合は振り返っていないです。ホント嫌だったので。ダメなんですけどね。
-逆に今にもつながっている良い点はありますか。
竹田選手
無いです。強いて言うなら中盤上がれているかな、っていうそれくらいですかね。「頑張れ高校生」って感じですね(笑)。腕振りを下で振っていて、すごい前傾して走っていて、「おっとっと」て感じです。10.61出したレースまではうまくいっていて、なんで速く走れたかがわかっていたんです。その後、関東大会あたりからなんでタイムが出るかわからないまま、インターハイへ進んでしまって、本番では大崩落しました。
-続いて、大1の関東新人を解説いただけますか。いちばん左、7レーンです。

竹田選手
(チームメイトの)長谷くんから教わったことができ始めています。よく観るレースなんです。ただ、今の走りと比べると、腰を使えていなくて、動きが小さいですね。腿で走っている感じです。この後、同じような動きをして10月の日本ジュニアで自己ベスト(10.52)が出て、「この動きは間違いじゃないんだ」と思いました。
-レース直前のメンタルはどうでしたか。
竹田選手
普通だったと思います。予選で増田拓巳(東海大・2年)選手と一緒だったんです。雲の上の存在で、一緒に走ってガチガチになってしまいました。負けるときはいつも同じような負け方していますね。でも、それを徐々に解消できています。ウィークポイントは明確なので。
-次は、水戸国際の決勝を観てみたいと思います。
竹田選手
予選の方が良いレースなんです。見比べるとわかるんですけど、決勝は肩が上がっちゃって。
-それでは予選から観てみましょうか。
竹田選手
隣に末續(慎吾・熊本陸協)さん、川面(聡大・ミズノトラッククラブ)さんがいてビクビクしていました。

-スタートから飛び出します。
竹田選手
直前に出た記録会が10.7とかかかっていて、水戸もダメだろうと思っていたんです。10.40きって日本選手権に出たいな、というくらいにしか思っていなくて。向かい風だとは思わなくて、風は感じていたんですけど、タイムが出てていて、ビックリしましたね。
-100mの日本記録保持者・伊東浩司さんが「予選の動きは衝撃的」とおっしゃったと。
竹田選手
ありがたいですね。でも、自己評価は低いです。10.29ってそんなにじゃない、と今は思っていて。
-技術的な課題はどこにありますか。
竹田選手
うまく乗れてるし、腰も使えているし。顎が最後上がっちゃう点ですね。脚が前に出る感じがして、初めての感覚でした。予選前のアップで試した動きがあって、大きい動きなんですけど、豊田コーチに「意外とできているよ、走れているじゃん、なんでそんな自信ないの?」と言われて。割りきって、ピストルの音を聞いたら本気で走ってみようと。何も考えていないんですよ、この時。
-胸を張って腕振りが上の方、という点が高校時代から大きく変わりましたね。
竹田選手
スランプが一年くらいあったので、いろいろやっていて、器用になって考えてきていたんですよ。だから、「あれをやろう」って言われてもすぐできるんですよね。
今シーズン初戦が10.46で後半全然走れていなくて。直前の日大記録会で10.7台かかってしまって、気持ち的にはスランプに入りかけていました。「もう諸行無常だよ」と(笑)。また高校時代のあれだ、もうだめだ、と思ったけどやることはやろうと思って。その前の試合と比べると、動きが大きく見えるんですよ。大きく全力で走ろうくらいしか思っていないので。それが良かったのだと思います。
-決勝はまたちょっと動きが違うという話がありました。
竹田選手
肩が上がりまくりました。(後ろから迫ってくる)サニブラウン選手の足音がすごいんですよ。めちゃくちゃバンバン聞こえて、もうダメだと。ゴールまで間に合ってくれと。

-それでもトップで駆け抜けました。
竹田選手
スタートが結構いいんですよね。ただ、肩が予選より上がっていて、だいぶ固いと思います。サニブラウン選手は、この時調子が良くなかったんだと思います。いたるところで(サニブラウン選手に)勝ったじゃん、と言われましたけど、実力差は絶対にあるし、一回しか勝ってないし彼に勝った云々ではなく、自己ベストが出せてよかった、という気持ちです。
-ご自身の立ち位置を、とても客観的に見てらっしゃるんですね。
竹田選手
10.2台なんて考えられなかったので、自己ベストが嬉しかったです。その後の関東インカレでも10.2台が出たので、一発屋じゃないんだな、と。そこは慢心せず。
でも、10.2台になって思ったのが、2台は速くないということです。10.0台で走らないと、9秒台で走らないと、通用しないと冷静な考えになるんですよ。「自分なんてまだまだ」とずっと卑屈でいて、たぶん世界で一番になったときにようやく偉そうにするかもしれませんね(笑)。10.2台を出すまでは2台は素晴らしいタイムだと思っていて、かつては絶対に出ないと思っていました。でも、出してしまうとすぐ次を見るんですよね。それが逆にいいんじゃないかなって。本当に自分のタイムに自信が無いんです。
-慢心とは縁が無さそうです。
竹田選手
一瞬するんですよ、でも、10.2台ってどこにも行けないじゃないですか。オリンピックも行けないし、ミディアムな感じですよね、はっきり言って。自分のことを知らない人が調子に乗っているだの何だの言っても、そんなことわかっているよ、速くないのはわかっているよと(笑)
-それでは最後のレースにいきたいと思います。今年の関東インカレ準決勝です。

竹田選手
ただただ固いやつです、ひどいですね。即効で顔上がっちゃって、動きも小さくて、頭真っ白です。スタートもちょっと遅れているんです。
大瀬戸(一馬・法政大)さんはさすがだと思います。すごいですよね。実力持っている人はちゃんと走れるんだなと。こういうところを観ると、自分はまだまだと思いますよね。動きが小さくて、高校時代みたいになっています。
-身体が小さく見える気がします。
竹田選手
そうなんですよね。うまく走れる試合は大きく見えるんですけど、このレースは小さく見えるので良くないなと。後半来ると思っていた増田(拓巳・東海大)選手が前半から並んでいるので、ダメだと思ったんですよ。走れていなくはないですけどひどいです。でも、本当に学べた試合でした。
-技術的な部分ではなく…、
竹田選手
メンタルの部分ですね。やっぱり、急激に伸びて、トントン拍子に来た中で、ある意味意味当然かなと思います。こういうことがあって当たり前で、逆になかったら怖いですし。すごい気にしてはいますが、ある意味では気にしていない、という気持ちで。いい意味でなかったことにできていて、切り替えられています。

竹田選手自身の解説で、課題がピンポイントで語られました。ご自身の言葉にも合ったように、どこが修正点かを明確に把握されていることが伝わってきました。各動画を振り返る言葉は、常に控えめな語り口から紡がれるのが印象的。自己評価は低めですが、それが竹田選手の絶えない向上心につながっていることを実感しました。
インタビュー最終回は、オフでの姿に迫るoff the track。日本選手権への展望とともにお送りします。ご期待ください!




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