【山縣亮太選手】インタビューPart.2 -持てる力を出しきる技術-

バージョン 2

ロンドンオリンピックで10.07の日本人オリンピック最高記録をマークした山縣選手。準決勝でも10.10を記録し、大舞台での強さを印象づけました。世界大会で日本人選手が闘う上で、度々話題に上る勝負強さ。山縣選手の勝利を掴むメンタリティに迫ります。


-世界大会で、日本人選手が納得行く結果を残せない、というテーマは度々語られます。一方で、山縣選手が力を発揮し切れる要因を、どのように分析してらっしゃいますか。

山縣選手
他の日本人選手が出し切れていないのかといったら、そんなことは無いと思っています。当時ベストを出した自分が考えていたのは、結果を出したいからこそ、絶対に出したいからこそ、ある意味大胆にいく。負けてもいいやでもなく、捉え方が難しいところなんですけど。ああいう時には、力を抜かなきゃいけないかなと。もしかしたら目も当てられない結果になるかもしれないけど、自分の走りをするっていうことだけを考えていました。
その時は記録や次のラウンドっていうのは意識していないんですね
山縣選手
なにも意識していないですね。結果的に自己ベストが出て、「あ、ベストだ」と喜んで、それを自信にして、準決勝・リレーと進んでいく感じでした。
-準決もリレーも良いレースだったと思うんですけど、予選・準決とヨハン・ブレイク選手(ジャマイカ)と走られました。力むこともなかったんでしょうか。
山縣選手
幸い、特に無かったですね、準決のラストはちょっと力んだんですが。前半から中盤の加速のところは、自分の思い通りのレースができてよかったんですけど、タイソン・ゲイ選手(アメリカ)、ブレイク選手に並ばれたくらいからは、ちょっとでも離されたくないっていうのがあって。特に準決は、それまで3番くらいを走っていたんで、コレ決勝いけるんじゃないか、と思って、そこが力みにつながった部分はありますね。
-一方で、競り合いにも非常に強いです。最後までほとんどバタつかず、力むことが少ないと思うんですけど、ご自身としてはいかがですか。
山縣選手
実際のデータとして、最後の減速の割合が低い、というのはあるみたいですけどね。その代わりトップスピードがあまり速くない。ぼく自身は、その減速区間の走り方はイメージが決まっているので、とにかくこれ以上加速しようとはしない。力まない。それで結果的に負けるのはしょうがない。それが確かに、力みにはつながっていないかもしれないですね。
-初めての世界大会でいきなりできる点に、大きな強みがありますね。
山縣選手
そうですね、ある意味大胆なのかもしれないですね。
-ご自身でも陸上以外の場面でもそれは感じられる。
山縣選手
たまに感じますね。ここでこういうことしちゃうか、みたいな。冷静に考えると、それがおかしなことってのはわかるんですけど、たまに大胆なことが日常の節々に出ることはありますね。
-海外のレースに出る選手はいますが、山縣選手はそれほど積極的ではないのかな、と思うのですが、その点はいかがでしょうか。
山縣選手
ロンドンでベストを出してからは、海外レースに出るチャンスはあったと思うんですけど、ぼくがしてこなかった理由はただ一つで、ケガなり自分の調子が悪い時に試合に出てもしょうがない、と。それで力んで、結局負けてしまうレースはしたくないし、そこで課題が見つかるならいいんですけど、海外で走ったから見つかるというものでもないんで。
-HSIでのトレーニングも経験されていますが、今も継続されているんですか。
山縣選手
今はしていないです。行ったのは去年の2月ですね。
-そこでの狙いというのは。
山縣選手
アメリカという陸上大国は、自分がいままで経験してきた環境とはまったく違う環境なわけです。コーチがいて、こういうメニューをやれと言われ、実際、ウェイトトレーニングもぼくがやったことがないのもので。じゃ、そうしたトレーニングにどういった良さがあるのか。自分の競技に繋げられるだろうかというのを肌で経験したかったんですね。結局腰が痛かったんですけど。
-腰の痛みで、思うようなトレーニングにはならなかったんでしょうか。
山縣選手
そうですね、ただ、ウェイトトレーニングに対する考え方はだいぶ変わりましたね。腰が痛くて思うようにはできなかったですけど。
-社会人になられてから体つきが大きく変わったと思います。
山縣選手
走りのエンジンをでかくしないと、頭打ちが来るなという感じでしたね。

ロンドンオリンピックに出場した当時、山縣選手は20歳。若くして世界のトップレベルに肉薄した走りは、自らの走りに徹しきった結果でした。「集中」というだれもが知る言葉を、だれもが届かないレベルで追求しきる能力の高さ。常人の想像を遥かに超えた集中力が、山縣選手の強さの秘訣であることがうかがえました。
Part.3のon the trackでは、エポックになるレースを3つピックアップ。動画で振り返りながら、ご自身に解説いただきます。




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