【山縣亮太選手】インタビューPart.3 -on the track-

バージョン 2

ご自身に走りを解説いただくon the track。高校・大学・社会人と、3レースをピックアップ。山縣選手は、いずれのレースも鮮明に記憶されてらっしゃいました。当時トラックで何が起きていたか、リアルな言葉で語っていただきました。


-それでは、まずは高3時の国体100m決勝のレースを振り返りたいと思います。6レーンが山縣選手です。

山縣選手
覚えています。中盤で出るんですよね。

-今になって振り返られると、このレースの良かった点、どのように分析されますか。
山縣選手
とにかく自分の走りに集中していましたね。インターハイみたいに固くなることも無く、最後まで身体を動かせたな、と思います。実はこの時、スタートで少しバランスを崩して横に振れているんです。そこは反省点でしたね。ただ、高3の時の走りなんで。先ほどの話じゃないですけど、今の技術的な大本になっている部分っていうのは、大2の時に形成されたものなんです。この時のイメージはスタートからパーンと出て、とにかく、最後まで全力で走り切るっていうレースだったんです。なので、ペース配分はあまり良くないですね。動きはいいと思うんですけど。
-スタートがよろけたという走りという話がありましたが、30mでもう一度左足で踏み込んでいるから右に曲がったのかと想像していましたが。
山縣選手
いや、まったくそういうことはなかったですね。ほんとに横に振れちゃって。だからこそ、中盤でもう一回走りを立てなおして、抜け出せたんじゃないかと思いますけどね。
-現在とのフォームの違いとしてはいかがでしょうか。
山縣選手
重心の下に足を置いていく走りは大2くらいから意識し始めたので、高3当時はまだなかったですね。

-では、次のレースにいってみたいとおもいます。大2で出場したロンドン100mの予選です。左から3人目の7レーンです。ヨハン・ブレーク選手と一緒でした。
山縣選手
準決も一緒でしたね。

 -前半から出てますね。最後まで余裕を持って走り抜けているように見えますね。
山縣選手
いや、実は最後は空中分解していて。速度は、まあ当たり前ですけど、上がらなかったです。なんとか速くゴールしなきゃと。
-スタートの反応の良さは山縣選手の特徴ですが。
山縣選手
このときのスタートは良かったですね。うん、すごく良かったです。
-この時、ブレイク選手はどのあたりから見えてくるんでしょうか。
山縣選手
中盤、4,50mあたりからですね。「あー出てきたな」と。内側に蘇炳添選手(中国)がいますけど、見えなかったですね。前半は随分前にいますけど。
-9秒台もマークした、アジアのトップランナーですが、蘇炳添選手の走りはどのように見てらっしゃいますか。
山縣選手
ぼくと全くタイプが違うんですよね。脚が全部前で回るんですよ、それがすごいなと思っていて。
-蘇炳添選手の走りで意識される部分はありますか。
山縣選手
去年は活躍をテレビで観ていたわけですけど、走りはマネしてみましたね。脚が後ろにまったく流れない走りをするので、これはすごいなと思って。でも、逆にめちゃくちゃ脚を前に振り出すんですよ。それが、今までの自分の感覚では受け入れられない感覚ではありつつ。
-集中力が非常に高かったレース。空中分解という点について、もう少し具体的に教えていただけますか。
山縣選手
スピードが出ていたのでしょうがないと思うんですけど、反応も良くて、最初の30mでも力を使いすぎずにトップをキープする。で、30-60mを使ってもう一回スピードを上げるところで、スピードが上がってくれたんですよ。ここでグッと抜け出すんですけど。でも、それでスピードが上がったからこそ、脚がついてこなくて。地面にまったく力が伝えられないフェーズに入っていってしまいましたね。

-もう一つが、今年の布勢で10.06の自己ベストをマークされたレースです。ロンドンとの違いどこにあるでしょうか。
山縣選手
筋力がついたからなのか、滑らかさが今ないんですよね
-観てみましょうか。左から3人目の7レーンです。自己ベストで桐生選手との争いに勝たれています。
山縣選手
そうですね。自信にはなりましたよね。

-特に良かった点を教えていただけますか。
山縣選手
バランスは崩したんですけど、割りと冷静に最後まで走れましたね。
-ゴールデングランプリ川崎でも、つまずくような形になりました。何か今年、フォームの変更点があるのでしょうか。
山縣選手
なんとも言えないですけどね。この日二本目のレースなので、この前に一本走っていますが、そちらはタイムが10.23(-0.6)だったんです。全力なんですけど。その時にスタートが僕としてはもたついたなというイメージがあって、スタートのイメージを変えたんですね。前に体重をかけながら、一歩目二歩目って上から乗り込んでいくイメージが強かったんですけど、それを変えて、スパーンと出る。そういうイメージに変えて二本目に取り組んだので、意識が強すぎたのか、前に体重をかけすぎて、バランスを崩すことになったのかなと思います。
-そこで掴まれたスタートの感覚は、理想に近いものなんでしょうか。
山縣選手
今はそれをベースに、最初からしっかり作っていかないと、中盤のスピードにもまったくつながっていかない、と思いながら練習していますね。
-先ほど滑らかさがオリンピックの時よりも、というお話がありましたが、ロンドンではより細かい動き、現在は一歩一歩が力強い動き、そんな印象がありますが、ご自身としてはいかがでしょうか。
山縣選手
あるかもしれないですね。特にステップを刻もうとか、歩幅を広げようとかそういう意識は無いんですが。意識は一緒なんですよ。
-山縣選手のレースプランは、スタートで飛び出して、最後にもう一回ぬけ出すような流れです。特に、スタートではあまり力を使っていないように見受けられます。
山縣選手
というふうに、自分でも思っているんですけど、ある程度スタートから力を使って前に出て行かないと、レースを制することができない、というのが最近の感覚ですね。
-そこに必要になってくるものが、パワーだったりするんでしょうか。
山縣選手
どうなんだろうか、なんなんだろうか。
-どうやら違そうですね。上半身は大きくなっている、安定感は増している、かと思いますがいかがでしょうか。
山縣選手
安定感は変わってないと思うんです。力が付いたからといって力を使って走ろうと思っているわけではないんですね。力をつけたことによって、自然に動かしていく中で、地面に伝わる力が大きくなってくれることによって、返ってくる力も大きくなってくるわけじゃないですか。そういう部分が前とは違うかもしれないです。
-スタートの意識は大きく変えてきているわけではないと。今年一番よかったレースとしては、どれだと思っていますか。
山縣選手
織田記念の決勝か、布勢のこのレースですね。スタートで明らかなミスはありましたが、その後の走りは本当に良かったですね。
 -この走りをベースに、日本選手権も組み立てられてていくんでしょうか。
山縣選手
そうですね。今は幸いにも(ハムや腰の痛みが)、ないですから。

布勢のレースのスタートでのつまずきは、直前まで行われていた試行錯誤の結果でした。レースとレースの合間に、課題をフィードバックして、素晴らしい走りにつなげる修正力の高さも、特筆すべきものです。ロンドンオリンピックで見せた、自身の走りに徹し切る集中力と併せた能力が、勝負強さと言われるものなのかもしれません。
インタビュー最終回は、オフの姿に迫るoff the track。山縣選手の趣味とは?ご自身の「テンション」についても語っていただきました。日本選手権、またその先をどう見据えてらっしゃるかにも迫ります。お楽しみに!




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