【高平慎士選手】引退直前インタビューpart.3:off the track

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トラックの外での高平選手に迫るpart.3。趣味や食事の好みについてお話をうかがいます。しかし、話は意外な展開を見せ、山の神の存在にまで至ります。高平選手の見据える先の広さを垣間見る、off the trackです。


-オフの高平選手に迫りたいと思います。まずは、趣味からお聞かせいただけますか。

高平選手
アメリカに行き始めてからNBAが大好きで。アプリで年間約3万円くらいする全試合観れるプランに入って、ヒマさえあれば観てますね。最近一番の趣味です。映画も好きだったりしますし。他のスポーツ見るのもすごい好きです。
-それぞれごひいきを教えていただけますか。
高平選手
NBAで言うと合宿先がヒューストンなのでロケッツですね。ファイナルに残ったら絶対観に行こうと思っています。日本選手権と重なるので、これまでは行けなかったんですけど、引退したら行けるんで(笑)。
-引退後の楽しみの一つですね。
高平選手
まずはファイナルに残ってくれなきゃいけないですけどね。
-映画ではいかがでしょう。フェイバリットムービーを挙げるとすると。
高平選手
すごい好きなのは「アルマゲドン」ですね。ただリブ・タイラーがかわいかったということなんですが(笑)。ジャンル全般いろんなものが好きですけど、スポーツに関するものは良く観ます。飯塚くんを介して、アメフトの栗原(嵩)くんと話している時に、「NBA好きなんだったら、面白い映画ありますよ」と紹介された映画で、「ドラフト・デイ」という作品があるんですね。NFLのドラフト会議の裏を描いているという作品で、こういう世界もおもしろいなと思って。マネジメント側のほうがぼくは好きなタイプなので、人間性だったり、それこそ戦略・戦術だったりみたいなところが描かれているような映画がすごい好きですね。人間性のあるストーリーがあると、ある程度何でも面白いなと思います。人間ドラマが描かれているような映画のほうが好きかな、というのはありますね。洋画邦画問わず。
-今のお話を伺っていると、「マネー・ボール」もお好きなんじゃないかなと。
高平選手
ええ、好きですね。
-やはり、好きな映画にはご自身を投影している部分があるんでしょうか。
高平選手
そうかもしれないですね。いろんなジャンル、野球もやっていたので、ここまで自分が携わらせてもらった部分をどう活かしていくかっていうことが体験できて、こういうふうになったらいいなということが、アメリカの映画は特に詰まっていますから。そういうのは面白かったりはしますね。
-もしかしたら映画のような出来事として、同じ富士通所属の柏原竜二さんが、富士通アメフトチームのマネージャーに就かれたことが思い浮かびました。セカンドキャリアとしても箱根駅伝としても、いろんな切り口で捉え方があるかと思います。
高平選手
初代・2代目と山の神とチームメイトという人は、まあまあいないんじゃないかなと思っていまして(笑)。彼らがどのように頑張ってきたか、どのような環境にあったか、というのはすごく稀なケースだと思うんですよね。言ってしまえば、関東大会でスーパースターが生まれている、そのマネジメントという意味ではすごいものがあると思っています。乱暴な言い方ですが、山を登ってスーパースターになるわけですから。そこを、自分の人生の中でどういう位置づけにするかというのは、3代目の神野大地くんも含めて、すごく難しい世界だと思います。
日本のスポーツ選手の多く「体育」の世界で生きているので、外に出ていく必要が無い中で育つわけです。強くなった結果こうなる、っていう準備が本人も周囲もまったくできないんですよね。そういう選手たちをどうやって守っていくべきか、というのをぼくはすごく大切にしてほしいと思います。いろんな想いを持っている二人を見ていて、アメフトのマネージャーになったからよし、2時間7分で走れるから良し、ということだけではなくて、もうちょっと人間性みたいなところまで、理解してあげられる人間が周りにどれだけいるか、サポートしていけるかというところが、これからスポーツ界に求められてくる部分だと感じます。
-学生スポーツを中心に、国民の一大関心事になっている競技があり、我々はそうした選手たちに、感動を求めて、競技レベル以上の期待を背負わせているかもしれません。陸上でも、国内で高い関心を集める種目で戦う選手と、世界で戦っていく選手とがいます。2極化していく中で、両者の分断はさらに広がっていくのでしょうか。
高平選手
広がっていくと思いますよ。ただ、どっちに進んでいくかというのは、選手本人が人生設計できているかですし、周囲がどういうふうに設計してあげるかサポートできなきゃいけないと思います。
-応援する側も、ドメスティックな学生スポーツへの過剰な声援だけでなく、世界で戦う選手へ目を向けるような空気というのも、2020年を境に生まれていけばいいですね。
高平選手
そうですね、スポーツに対する見方が、ワンランク上がってほしいなとは思いますね。

-先ほど食事の話題が出ましたが、食で気を払っていたことといなかったことを、教えていただけますか。
高平選手
好きな食べ物はラーメンです。エビはアレルギーで食べられないのと、茄子が嫌いです。外側の食感と中の食感が違うのが納得いきません(笑)。
本当に食事に関しては我慢しないということですね。生活全般に対してそうなんですけど、日本でスタンダートなことをやっていていいことって、競技をやっている上ではぼくはあまり無いと思っていて。海外に行けば白米なんて無いし、お母さんのご飯は食べられないですし。そうじゃなきゃ生きていけないなら、世界大会に行ったら終了です。ぼくがその土地その土地で楽しめるようになったのは、23、24歳くらいからでした。行った土地で食べたいものを食べられるように自分で行動できるようになったのもそれくらいからなんで。色んな国の色んな文化を体験することはすごく大事にしていることで、そこにご飯はつきものですから。なるべく行った土地のものを食べる。パスタ一つとっても、日本に帰ってくると日本流だなと思いますし、朝原さんとイタリア行った時に寿司食べたりもしましたけど、やっぱり寿司は日本だよね、みたいな話をしたりだとか。そういう文化を受け入れることの一番に来るのがご飯だな、と思っています。基本的に我慢したくないので、こうじゃなきゃいけないという概念をあまり作りたくないんですよね。なので、早寝早起きで考えても、日本での早寝はロンドンでの早寝なんですか、と言われた時にどう説明するのか。自分で好きな時に寝れて好きな時に起きられる身体を作っておくことのほうが、世界に行った時に必要な部分だし、食もそうだし、生活スタイルもそうです。臨機応変に対応できる気持ちを常に持っていたいと思います。もちろん食べれるときや必要だなと感じる時は、日本で取り入れられるなら取り入れたいなと思います。サプリメントを摂らないので、基本的には食で補いたいなというのがベースにはあります。
-サプリメントを摂られないということですが、オーソドックスなアミノ酸なども。
高平選手
摂らないですね。
-ここまでの話を伺っていると、高平選手には、自分で制限を設けたり、キャップをはめるということがそもそも無いのかなと感じます。
高平選手
そうですね、無いかもしれないですね。
-オフの部分でもう一つ。高平選手のスタイルは、日本人的なスタイルからはかなりかけ離れていると思うんですけど、服選びで困ることはありますか。
高平選手
基本困りますね。一番困るのはワイシャツですね。やはり首周りと袖丈が全然リンクしないので、大変ではあります。ただ、一方で嬉しいのは、記憶にある中では裾上げたことないです。それはありがたい。すぐに持って帰られる。
-なにかあったときにもすぐに買いに行って持って帰られますね(笑)
高平選手
すぐに持って帰られる(笑)。それはすごく大きいですね。ただ本当にスーツだったりは、お世話になっている方にお願いして作ってもらわないと、日本のものはほとんど合わないので、それはすごく困りますね。自分に合ったものを選ぶということはすごく大事にしたいなと思います。
スポーツ選手に憧れるって、9秒台を出したから、その結果だけで子どもたちが憧れて、大人になっても陸上競技を続ける、ってほとんど無いと思うんです。プロスポーツ選手に対しては、競技の結果だけでなくライフスタイルも含めて憧れるんだと思っています。そういう意味ではすごく、かっこいい姿を公の場に出る時はしてほしいと思っていますし、自分でもそういうことを心がけてはいます。陸上競技選手になったら稼げるっていう種目になって欲しい、というのがぼくの夢でもあります。普段から着るものだったりは大事にしていきたいと思います。

高平選手のプライベートに迫っているつもりが、気づけば陸上界の目指すべき姿の話にまで広がっていきました。短距離を中心に知名度が高まっている現在から、次のステップに陸上界が進んでいく上で、高平選手の果たす役割に期待をしてしまいます。
次回はインタビュー最終回のpart.4。高平選手のセカンドキャリアと、引退レースについてお話いただきます。




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